私達は月明かりがうっすらと照らす回廊を無言で走っていた。
理由は余計な事は考えたくなかったから……。
周囲を注意深く見回しながら進んではいるが、幸い私達に向かって襲ってくる刺客はもういないみたいだ。
おそらくは竜人ドラグネオンが最後にして最強の防衛線ということだろう。
それもそのはず、竜人ドラグネオンはエターナルアザー内では長を除いた最強の剣の使い手なのだから。
(長が言葉を発しないのは、きっと竜人ドラグネオンに申し訳ない気持ちがあるからだろうけどね……)
だからか、あっという間に目的地のブラッド青年の個室前に辿り着く。
(よし、あとは……)
「……相手はあの竜人ドラグネオン、雷神剣の使い手ですが小次狼さんは大丈夫ですかね?」
不安になっているからだろうか? クロウは沈黙を破るようにボソリと呟く。
クロウが心配するのも無理もない。
雷竜の化身でもある竜人ドラグネオンは雷をまるで自分の手足のように自由自在に使いこなし、それを自身の剣に纏わせる事が出来る。
自慢じゃないが私も剣の腕だけなら彼に勝てる自信は全くないしね。
「そうね。でも、小次狼さんも負けず劣らずの猛者……、その理由はね」
「え……ええっ!」私の話を聞き、その内容に驚いたクロウの大声が深夜の回廊に静かに響き渡るのだ……。
♢
一方こちらは小次狼と竜人ドラグネオン。
「ほう、お主も雷竜じゃったか……」
「なにっ? 小次狼といったか、お、お主のその眼ま、まさか……?」「そう、儂と貴殿はおそらく遠い親戚……。儂の血にも竜人の血が少しばかり流れておるでの……」
小次狼は